「記事は増えたのに問い合わせが増えない」というBtoBオウンドメディアの状態を、推測ではなく自社の実測値で分解した記録です。対象は当サイト lead-lab.jp の公開記事151本、期間は2026年7月24日〜10月21日の90日間。Search Console と GA4 から取得した生データをそのまま載せています。
同種の数字は、各社が社外に出さないため検索してもほとんど見つかりません。自社サイトの数字と比べる材料として使えるよう、出典を明記すれば自由に引用していただいて構いません(引用方法は最後に記載しています)。
この記事の結論
- 90日間(2026年7月24日〜10月21日)の総表示は 43,546回、総クリックは 275回。サイト全体のCTRは 0.63% でした。
- そのうち 193クエリ・15,539表示(全表示の35.7%)が、クリック2回以下でした(当サイト実測)。193クエリ中 190クエリはクリック0回 です。
- 原因を分解すると、掲載順位(193クエリの約4分の3が20位より下)が主因で、自サイト同士の競合(カニバリゼーション)が43クエリ・4,876表示で重なっていました。
- 一方、「記事が存在しないから取れていない」クエリは193件中13件・712表示(全表示の1.6%)だけでした(当サイト実測)。記事を足して解決する問題ではありませんでした。
- AI検索エンジン経由の流入は90日で 114セッション(Organic Search 2,782セッションに対し約3.9%)。着地ページの上位9本のうち 6本が料金・単価・相場・業界平均を扱うページでした。
調査概要(方法論)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | lead-lab.jp(合同会社InnoMark) |
| 対象 | lead-lab.jp の公開記事 151本(301リダイレクトで統合済みの4本を除外) |
| 期間 | 2026年7月24日 〜 2026年10月21日(90日間) |
| データ取得元 | Google Search Console API(query / page 次元)、GA4 Data API |
| 取得行数 | query × page で 3,287行、ユニーククエリ 2,938件 |
| 取得日 | 2026年10月24日 |
| 除外 | GA4のDirectチャネルは2026年10月以降に国外からの機械的なアクセスが混在しているため、本稿の流入分析では用いていません |
数値はすべて当サイトの実測値であり、推計・按分は行っていません。サンプルは1サイトなので、業界平均ではなく「1サイトの実測例」としてお読みください。
90日間の全体結果
| 指標 | 実測値 |
|---|---|
| 総表示回数 | 43,546回 |
| 総クリック数 | 275回 |
| サイト全体CTR | 0.63% |
| ユニーククエリ数 | 2,938件 |
| query × page の組み合わせ | 3,287行 |
| 記事数 | 151本 |
いずれも当サイトのSearch Console実測値です(2026年7月24日〜10月21日・対象151記事)。
記事1本あたりに直すと、90日で表示288回・クリック1.8回です。151本という本数の割に、クリックが集まっていないことが一目で分かります。
ここで重要なのは、表示は出ているという点です。インデックスされていない、検索結果に出ていない、という段階の問題ではありません。出ているのにクリックされていない、という段階にあります。
表示の35.7%は1クリックも生んでいなかった
当サイトの全2,938クエリから、次の条件で抽出しました。
- 表示回数 30回以上(偶然の表示を除くため)
- 平均掲載順位 15位より下
- クリック 2回以下
該当は 193クエリ。その合計表示は 15,539回 で、当サイトの全表示の35.7%にあたります。193クエリのうち 190クエリはクリック0回でした。

つまり、表示されている3分の1強が、1クリックも生まないまま流れている状態です。この15,539表示が何によって止まっているのかを、以下で2つに分けます。
内訳① 掲載順位 — 4分の3が20位より下

| 平均掲載順位 | クエリ数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 15〜20位 | 33件 | 17.1% |
| 20〜30位 | 51件 | 26.4% |
| 30〜50位 | 60件 | 31.1% |
| 50位以下 | 49件 | 25.4% |
| 合計 | 193件 | 100% |
いずれも当サイトのSearch Console実測値です(2026年7月24日〜10月21日・対象151記事)。
160件(82.9%)が20位より下、109件(56.5%)が30位より下です。30位以下は検索結果の3ページ目以降にあたり、クリックが出ないのは当然の位置です。
ここから言えるのは、この15,539表示の大半は「タイトルやディスクリプションを直せばクリックが増える」種類のものではないということです。順位がクリックされる位置にないので、スニペットの改善では届きません。実際、当サイトでは記事タイトルを3グループに分けて変更し、変更していない記事群と比較する実験を90日間かけて行いましたが、3グループとも効果の有無を判定できませんでした。CTRの変化幅が、この表示規模で検出できる最小差を下回っていたためです。
内訳② カニバリゼーションの実測 — 43クエリで自サイト同士が競合
193クエリそれぞれについて、同じクエリで自サイトの何ページが表示されたかを数えました。

| 表示されたページ数 | クエリ数 | 合計表示 |
|---|---|---|
| 1ページ | 150件 | 10,663回 |
| 2ページ | 23件 | 2,441回 |
| 3ページ | 12件 | 1,104回 |
| 4ページ | 3件 | 528回 |
| 5ページ | 5件 | 803回 |
| 2ページ以上の小計 | 43件 | 4,876回 |
43クエリ・4,876表示(193クエリの表示の31.4%)で、自サイトの複数ページが同じ検索結果に出ていました(当サイト実測)。 最大は5ページです。
実例を挙げます。いずれもクリックは0回です。
| クエリ | 表示 | 平均順位 | 表示された自サイトのページ |
|---|---|---|---|
| リード 獲得 費用 | 418回 | 53.4位 | 成果報酬型の費用相場(184)/CPA・CPLの相場(160)/リード獲得とは(71)/IT業界の支援(3) |
| BtoB リード獲得 | 258回 | 63.2位 | リード獲得とは(131)/リード獲得の方法(81)/トップ(36)/資料LP(6)/成果報酬型(3) |
| リード 獲得 単価 | 202回 | 40.2位 | CPA・CPLの相場(120)/成果報酬型(75)/リード獲得とは(7) |
「リード 獲得 費用」で418回表示されながらクリックが0回なのは、単に順位が低いからではありません。同じ意図のページを4本持っているため、検索エンジンがどれを主たる答えとして出すかを決めきれていない状態です。4本がそれぞれ中途半端な順位に散り、どれも1ページ目に届いていません。
これは記事を増やした副作用です。「費用」「単価」「相場」という近い意図に対して、業界別・報酬形態別・入門用と角度を変えて個別の記事を作った結果、内部で票が割れました。 当サイトの場合、この3クエリだけで878表示・クリック0です。
「記事が足りない」はほとんど原因ではなかった
クリックが出ていないと、つい「このテーマの記事がないからだ」と考えて新規記事を足したくなります。そこで193クエリすべてを、151記事のタイトルとスラッグ全文と2文字単位で照合し、受け皿となる記事が存在するかを機械的に判定しました。
| 判定 | クエリ数 | 合計表示 | 全表示に占める割合 |
|---|---|---|---|
| すでに受け皿となる記事がある | 180件 | 14,827回 | 34.0% |
| 受け皿となる記事が見当たらない | 13件 | 712回 | 1.6% |
193件のうち180件(93.3%)は、すでに記事が存在していました。 残る13件・712表示も、内訳を見ると特定ツールの製品名での検索(公式サイトが答えになるもの)や、既存記事と語の表記が違うだけのものが大半でした。
つまり当サイトの15,539表示の損失のうち、新規記事で埋められる部分は1.6%以下です。 残り98%以上は、既存記事の順位と、記事同士の重複の問題でした。記事を足すと、カニバリゼーションはむしろ増えます。
キーワード選定そのものの考え方は「BtoB SEOキーワードの選び方」で整理しています。本稿の結論は、選定の前に「すでにあるページで取りに行っているか」を確認すべき、というものです。
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AI検索エンジン経由の流入は90日で114セッション
生成AI経由の流入についても、同じ期間のGA4で実測しました。
| チャネル | セッション |
|---|---|
| Organic Search | 2,782 |
| AI Assistant | 114 |
| Referral | 46 |
AI Assistant は114セッションで、Organic Search と合わせた自然流入のうち 3.9% にあたります。参照元を個別に見ると、gemini.google.com が43、claude.ai が26、chatgpt.com が24、copilot.com が11、perplexity.ai が11でした(チャネル分類と参照元の集計は一致しないため、合計は114と一致しません)。
注目したのは着地ページです。AI Assistant チャネルで着地ページが記録されたのは111セッション分で、うち16セッションは着地ページが (not set)(特定不可)でした。残る95セッション分の上位は次のとおりです。
| 着地ページ | セッション | 内容 |
|---|---|---|
| /unit-cpa-cp | 9 | CPA・CPLの相場と業界平均 |
| /b2b-cvr-industry-average | 8 | BtoB CVRの業界平均 |
| /sansan-plan | 7 | ツールの料金プラン |
| /corp-structured-data | 4 | 構造化データの実装 |
| /hubspot-price | 4 | ツールの料金 |
| /performance-reward | 4 | 成果報酬型の費用相場 |
| /sansan-data-hub-price | 4 | ツールの料金 |
| /white-paper-sample | 4 | ホワイトペーパーの作例 |
| /haihai-mail | 4 | ツール紹介 |
上位9本のうち6本が、料金・単価・相場・業界平均を扱うページです。AIが回答を組み立てるときに参照しているのは、解説や手順ではなく、数字そのものを答えているページでした。「CPA・CPLの相場と業界平均」「BtoB CVRの業界平均」の2本だけで17セッション、着地ページが特定できた95セッションの17.9%を占めています。
ただし114セッションという規模では、ここから施策の良し悪しを結論づけることはできません。傾向として記録しておく、という位置づけです。
同じ測定を自社サイトで行う手順
本稿の数字は特別なツールなしで再現できます。Search Console の画面だけでも、次の3つは確認できます。
- 表示が多くクリックが0のクエリを出す。 検索パフォーマンス → 期間90日 → クエリを表示回数の降順に並べ、クリック0のものを拾います。ここが「表示はあるのに取れていない」ゾーンです。
- そのクエリで自サイトの何ページが出ているか数える。 クエリをクリックして絞り込み、ページ次元に切り替えます。2ページ以上出ていればカニバリゼーションです。
- 順位を確認する。 30位より下なら、スニペットの改善ではクリックは増えません。順位の問題として扱います。
優先順位としては、2の「同じ意図のページが複数ある」ものから手を付けるのが効率的です。順位を上げるには時間がかかりますが、重複の解消は自分の判断だけで実行できます。選択肢は、主たる1本に統合して他を301リダイレクトする、役割を分けて見出しと内部リンクを引き直す、のいずれかです。
なお、順位ではなくフォーム側で取りこぼしている可能性もあります。その切り分けは「問い合わせフォーム最適化の完全ガイド」を参照してください。
よくある質問
CTR 0.63% は低いのでしょうか
平均掲載順位との組み合わせで判断する必要があります。当サイトの場合、クリックが出ていない193クエリの82.9%が20位より下にあり、低いCTRは順位の結果です。業界平均と比べるより、自サイトの「順位帯ごとのCTR」を見るほうが実務的です。1〜3位のCTRが明らかに低ければタイトルの問題、順位そのものが低ければ順位の問題、と切り分けられます。
カニバリゼーションは必ず解消すべきですか
同じクエリで複数ページが出ていても、1ページ目に自社が複数並んでいるなら有利に働くこともあります。問題になるのは、本稿の例のように複数ページが揃って20位以下に沈んでいる場合です。当サイトでは43クエリ中、クリックが出ているものはありませんでした。判断の基準は「ページ数」ではなく「全ページが圏外かどうか」です。
新規記事はもう書かないほうがよいのでしょうか
本稿が示したのは「既存のクエリ群については新規記事で埋められる余地が1.6%しかなかった」という当サイト1サイトの実測です。まだ表示が立っていない領域や、一次データのように既存記事では代替できない内容は別の話です。判断の順序としては、手持ちのクエリを一度洗って重複を潰してから新規に進むのが安全です。
AI経由の流入は今後増やせますか
当サイトの114セッションという実測からは、増やし方を結論づけられません。観測できた事実は「着地の上位は数字を答えているページに偏っている」という1点だけです。少なくとも、出典と計測方法を明記した数値を持つページは参照されやすい、という仮説を置いて検証する価値はあると考えています。本稿自体がその検証を兼ねています。
まとめ
- 151記事・90日間(2026年7月24日〜10月21日)で表示43,546回・クリック275回(CTR 0.63%)。
- 表示の35.7%(193クエリ・15,539表示)がクリック2回以下、うち190クエリはクリック0。
- 主因は掲載順位(193クエリの82.9%が20位より下)。
- 43クエリ・4,876表示で自サイトの複数ページが同一検索結果に競合。最大5ページ(当サイト実測)。
- 新規記事で埋められる余地は13クエリ・712表示(全表示の1.6%)のみ。
- AI経由は114セッション。着地上位9本中6本が料金・相場・平均を扱うページ。
記事数を増やす前に確認すべきは、すでに表示されている15,539回がなぜクリックされていないのかでした。当サイトの場合、その答えは「順位」と「自分同士の競合」で、記事の不足ではありませんでした。
本データの引用について
本稿の数値・図表は、出典を明記していただければ自由に引用・転載いただけます。
出典表記例: 出典: lead-lab.jp『BtoBオウンドメディア151記事・90日間の検索実測データ(2026年10月)』 https://lead-lab.jp/btob-media-search-data-2026/
データの取得条件や集計方法について確認が必要な場合は、お問い合わせよりご連絡ください。使用したクエリ条件・除外条件は本稿の「調査概要」に記載のとおりです。
