BtoBウェビナーを開催したものの、「申込が思うように集まらない」「参加率が低く、せっかく集客したのに成果につながらない」と悩んでいませんか。実は、ウェビナーの平均申込率は訪問者の約2~5%、参加率は申込者の約40~50%と言われており、多くの企業が集客と参加促進に課題を抱えています。
本記事では、BtoBウェビナーの集客・申込率を劇的に改善するための実践的な手法を、10のステップに分けて徹底解説します。ターゲット設定からLP設計、メール戦略、広告活用まで、明日から使える具体的なノウハウをご紹介します。
この記事を読むことで、ウェビナーの申込数を2倍以上に増やし、質の高いリードを獲得するための全体戦略が理解できます。
2025年のBtoB ウェビナー市場トレンド
BtoBウェビナー市場は2025年も引き続き成長を続けています。新型コロナウイルス以降、オンラインでのリード獲得が当たり前となり、DemandGenの調査によればマーケティング担当者の53%が「ウェビナーは最も質の高いリードを生み出すコンテンツである」と回答しています。
市場のトレンドとして、以下の3点が挙げられます。第一に、ライブ配信と録画配信のハイブリッド開催が主流になっています。参加者の都合に合わせて複数の視聴機会を提供することで、申込率・参加率ともに向上しています。第二に、短時間(30~45分)のウェビナーが好まれる傾向にあります。忙しいBtoB担当者にとって、昼休みや業務の合間に参加できる時間設定が重要です。第三に、インタラクティブ性の重視です。一方的な情報提供ではなく、Q&Aやチャット機能を活用した双方向コミュニケーションが求められています。
また、ウェビナーを単発のイベントとしてではなく、コンテンツマーケティングの一環として位置づけ、アーカイブ動画をナーチャリングコンテンツとして活用する企業も増加しています。
H3: よくある失敗パターンと申込率が低い原因
BtoBウェビナーで申込率が低い企業には、共通する失敗パターンがあります。最も多いのが「テーマが広すぎる」という問題です。「マーケティング最新トレンド」のような漠然としたテーマでは、誰に向けた内容か
が不明確で、参加意欲を引き出せません。
次に多いのが「ターゲット設定が曖昧」という課題です。業種・企業規模・役職まで絞り込まずに企画すると、メッセージが刺さらず、申込につながりません。例えば「SaaS企業のマーケティング責任者向け」と明確にするだけで、該当する人の反応率は大きく変わります。
三つ目が「フォローアップ不足」です。申込後から開催日までの期間に何もアプローチしないと、忘れられたり、優先度が下がったりして、参加率が低下します。リマインドメールやカレンダー登録リンクの提供など、細かいフォローが必要です。
その他、「開催日時が参加しづらい」「LPの情報が不足している」「申込フォームが複雑」「集客開始が遅すぎる・早すぎる」なども、申込率を下げる要因として挙げられます。これらの課題を一つずつ解消することで、集客成果は確実に改善します。
ターゲットを極限まで絞り込んだテーマ設計
申込率を最大化するには、「誰に・何を・どこまで解決できるか」を1文で言えるレベルまでテーマを絞り込むことが最重要です。広いテーマは一見すると多くの人に刺さりそうですが、実際には誰にも刺さらないという結果になります。
ペルソナ設定の具体例
効果的なペルソナ設定には、業種・企業規模・職種の3軸での絞り込みが有効です。例えば、「従業員数50~300名のSaaS企業でマーケティング責任者を務める35~45歳の方」のように具体化します。さらに、「新規リード獲得に課題を感じており、MAツールは導入済みだが活用しきれていない」といった課題レベルまで明確にすると、より訴求力の高いテーマになります。
効果的なタイトルの付け方
タイトルには、①ターゲット、②得られる成果、③具体性の3要素を盛り込みます。例えば「【SaaS企業限定】MA活用でリード獲得を3倍にする実践テクニック」のように、誰が・何を得られるかが一目でわかる構成にします。
NG例とOK例の比較
| NG例 | OK例 |
|---|---|
| マーケティングの最新トレンド | 製造業BtoB企業のための2025年デジタルマーケティング戦略 |
| SEO対策セミナー | 月間PV1万以下のオウンドメディア担当者向けSEO基礎講座 |
| 営業DXの進め方 | 従業員100名以下の中小企業が3ヶ月でSFA導入を成功させる方法 |
このように、ターゲットと成果を明確にすることで、該当者の申込率は飛躍的に向上します。
最適な開催日時の選定方法
ウェビナーの開催日時は、申込率と参加率の両方に大きく影響します。BtoB向けウェビナーでは、参加者のスケジュールを考慮した日時設定が不可欠です。
BtoB向け推奨曜日・時間帯データ
最も推奨される曜日は火曜日~木曜日です。月曜日は週初めで予定が読めず、金曜日は週末前で参加意欲が下がる傾向にあります。時間帯は、午前11時~12時、午後2時~4時が特に好まれます。昼休み前後の11時台は、業務の区切りがつきやすく参加しやすい時間帯として人気です。
業界別・職種別の参加しやすい時間帯
決裁層(経営者・部長クラス)向けには、朝8時~9時の始業前や、夕方17時以降も選択肢になります。実務担当者向けには、14時~16時の業務時間内が参加しやすいとされています。IT業界では比較的柔軟な時間帯でも参加が見込めますが、製造業や金融業では業務時間内の13時~16時が無難です。
複数回開催の効果
同じ内容を複数日程で開催すると、スケジュール都合で参加できない層を取り込めます。ライブ配信2回+録画配信1回の計3回開催する企業も増えています。LogMeIn社の調査では、複数日程を用意することで申込数が平均1.5~2倍に増加したというデータもあります。録画配信を組み合わせれば、運営負荷を抑えながら参加機会を広げられます。
CVRを最大化するLP(ランディングページ)設計
ウェビナーLPは、訪問者を申込に転換する最も重要な接点です。LPの出来次第で、同じ集客施策でも申込数が2倍以上変わることも珍しくありません。
高CVR LPの必須要素チェックリスト
効果的なLPには以下の要素が必要です。
- 魅力的なタイトル(誰向けか・何が得られるかが明確)
- 開催日時・所要時間の明記
- 3~5つの具体的なベネフィット
- 登壇者の顔写真・経歴・実績
- 詳細なアジェンダ(タイムテーブル)
- 参加者の声・過去の満足度データ
- 申込フォームへの明確なCTA
- よくある質問(FAQ)
ファーストビューの最適化
ファーストビュー(スクロールせずに見える範囲)で、タイトル・開催日時・申込ボタンが見えることが重要です。訪問者の80%はファーストビューで離脱するかどうかを判断します。キャッチコピーは「このウェビナーに参加すると、あなたはどうなれるのか」を具体的に示しましょう。「リード獲得数を3ヶ月で2倍にする方法がわかります」のように、参加後の変化を明示します。
信頼性を高める要素
登壇者の権威性(過去の実績・資格・執筆書籍など)を示すことで、「この人の話なら聞く価値がある」と思ってもらえます。また、過去開催時の参加者数や満足度(「前回開催時は200名参加、満足度93%」など)を数値で示すと、信頼感が高まります。
スマホ対応の重要性
BtoBでもスマホからの申込が全体の30~40%を占めます。フォーム入力がしやすいか、ボタンが押しやすいサイズかなど、スマホでの使い勝手を必ず確認しましょう。
申込フォームの最適化(EFO)テクニック
せっかくLPで興味を持ってもらっても、フォーム入力で離脱されては意味がありません。フォーム最適化(EFO)は、申込率向上の最後の砦です。
入力項目数と離脱率の関係
入力項目が1つ増えるごとに、離脱率は約5~10%上昇すると言われています。BtoBウェビナーでは、最低限「氏名・会社名・メールアドレス」の3項目に絞ることを推奨します。部署名や役職は任意項目にするか、ウェビナー後のアンケートで取得する方が、申込数は増えます。
必須項目の選び方
必須項目は「ウェビナー視聴に必要な情報」「後日のフォローアップに必要な最低限の情報」のみに限定します。住所や電話番号は、この段階では不要です。必須項目には赤い「必須」マークを明示し、任意項目との区別を明確にしましょう。
エラー表示の改善ポイント
入力エラーが発生したとき、どこが間違っているのかを具体的に示すことが重要です。「メールアドレスの形式が正しくありません」のように、何をどう修正すればよいかがわかるメッセージにします。また、エラーが出たら該当箇所までスクロールして赤枠で囲むなど、視覚的にもわかりやすくします。リアルタイムバリデーション(入力中にエラーチェック)を実装すると、送信ボタンを押す前にミスに気づけるため、離脱を防げます。
メール配信戦略とセグメント設計
メール配信は、BtoBウェビナー集客で最も効果的な手法の一つです。LogMeIn社の調査では、ウェビナー集客で最も効果があった手法として57%がメールを挙げています。
配信スケジュールの黄金パターン
理想的な配信スケジュールは以下の通りです。
- 開催3~4週間前:初回告知メール
- 開催2週間前:2回目の告知メール
- 開催1週間前:締切間近の告知メール
- 開催前日:リマインドメール(申込者向け)
- 開催当日(3時間前):最終リマインド(申込者向け)
LogMeIn社のデータによると、申込の59%が開催1週間前~当日に発生し、そのうち17%は当日申込です。直前でも申込できる体制を整えておくことが重要です。
セグメント別訴求の具体例
メール配信はセグメント(既存顧客・休眠リード・新規リードなど)ごとに訴求を変えると、開封率・クリック率が大きく改善します。
- 既存顧客向け:「いつもご利用ありがとうございます。お客様限定で~」
- 休眠リード向け:「久しぶりのご連絡となり恐縮です。最新の~をご紹介」
- ホワイトペーパーDL済み向け:「先日ダウンロードいただいた○○の続編として~」
このように、受信者との関係性に応じてメッセージを調整することで、反応率が向上します。
件名・本文のテンプレート集
効果的な件名の型:
- 【限定○名】【業種名】のための【テーマ】セミナー
- 【無料】【成果】を実現する【手法】を公開
- 【残席わずか】【日時】開催【テーマ】ウェビナー
本文は、①共感(課題への理解)、②解決策の提示(ウェビナー内容)、③CTA(申込ボタン)の3段構成が基本です。
リマインドメールで参加率を高める方法
申込を獲得しても、実際に参加してもらえなければ意味がありません。リマインドメールは、参加率(申込者のうち実際に参加した割合)を高める重要施策です。
効果的なリマインドスケジュール
リマインドは最低2回、理想的には3回送ります。
- 開催前日(18~20時):翌日のウェビナーを思い出してもらう
- 開催当日(開始3時間前):最終確認と準備を促す
- 開催直前(開始30分前):URLクリックを促す(オプション)
各タイミングで伝えるべき内容は異なります。前日メールでは「明日の予定確認とカレンダー登録のお願い」、当日メールでは「視聴URLと参加方法の再確認」、直前メールでは「まもなく開始、URLをクリックしてお待ちください」といった具合です。
カレンダー登録リンクの活用
Googleカレンダー・Outlookカレンダーに一発登録できるリンクを提供すると、参加率が10~15%向上するというデータがあります。ユーザーのスケジュール帳にウェビナーが記録されれば、忘れられるリスクが大幅に減ります。カレンダー登録リンクは、申込完了メールとリマインドメールの両方に含めましょう。
自社サイトでの露出最大化施策
既に自社サイトへの訪問者がいるなら、その流入を活用しない手はありません。追加広告費なしで申込数を増やせる、費用対効果の高い施策です。
効果的なバナー配置場所
トップページのファーストビュー、サービスページの上部、関連ブログ記事の冒頭・文中・最後など、目につきやすい場所にウェビナーバナーを設置します。特に、ウェビナーテーマと関連性の高いブログ記事からの誘導は、質の高いリードを獲得しやすいため重要です。
ポップアップ・スクロール追従バナー
サイト訪問後10秒で表示されるポップアップや、スクロールしても常に画面下部に表示される追従バナーは、視認性が高く、申込数を増やす効果があります。ただし、ユーザー体験を損なわないよう、閉じやすい設計にすることが重要です。
ブログ記事との連動方法
ウェビナーテーマと関連する既存ブログ記事に、「この話題についてさらに詳しく知りたい方は、○月○日開催のウェビナーへどうぞ」といったCTAを追加します。記事読者は既にそのテーマに興味があるため、申込率が高くなります。
SNS・広告を活用した新規リード獲得
既存リスト以外の新規リードを獲得するには、SNSと広告の活用が不可欠です。
LinkedInターゲティング広告の設定方法
LinkedInはBtoBマーケティングで最も効果的なSNS広告媒体です。業種・企業規模・役職・スキルなど、BtoB向けのターゲティング項目が充実しています。例えば「従業員数100~500名のIT企業で、マーケティングマネージャー以上の役職者」のように絞り込めます。
広告フォーマットは、スポンサードコンテンツ(フィード広告)とメッセージ広告が効果的です。予算は1申込あたり5,000~15,000円が目安ですが、ターゲティング精度が高いため質の高いリードを獲得できます。
Facebook/Twitter活用のポイント
Facebookでは、自社ページでのイベント投稿機能を活用し、フォロワーに告知します。イベント投稿には「参加予定」ボタンがあり、友達にも通知されるため拡散効果があります。
Twitterでは、ハッシュタグを活用して関心層にリーチします。業界特化型のハッシュタグ(#マーケティング #BtoB営業 など)を使い、複数回に分けて告知することで、タイムラインに流れても再度目に触れる機会を作ります。
リターゲティング広告の効果的な使い方
一度LPを訪問したが申込まなかったユーザーに対して、リターゲティング広告で再度アプローチします。「申込締切まであと○日」「残席わずか」など、緊急性を訴求するメッセージが効果的です。
広告予算別の推奨チャネル
- 月10万円以下:Facebook・Twitter広告
- 月10~50万円:上記+LinkedIn広告
- 月50万円以上:上記+Google広告(ディスプレイ・検索)
共催・パートナー連携で母数を倍増
単独開催では集客に限界がある場合、共催・パートナー連携が有効です。お互いの顧客リストに告知できるため、リーチできる母数が一気に拡大します。
共催パートナーの選び方
理想的なパートナーは、「ターゲット層は同じだが、提供サービスが競合しない」企業です。例えば、MAツール企業とCRMツール企業、Web制作会社とSEOコンサル会社などの組み合わせです。同じ顧客層に異なる価値を提供できるため、Win-Winの関係を築けます。
役割分担と告知フロー
共催の場合、役割分担を明確にすることが重要です。企画・資料作成・当日運営・集客などを分担し、双方のメールリストに告知します。申込フォームは共通化し、リードデータは両社で共有する形が一般的です。
Win-Winになる設計のコツ
共催で成功するには、双方にメリットがあることが必要です。集客目標を事前に設定し、「各社50名ずつ、合計100名を目指す」のように明確化します。また、ウェビナー後のリードフォローも分担(例:A社は前半30分、B社は後半30分の登壇内容に関心を示したリードをフォロー)を決めておくとスムーズです。
申込後のナーチャリング施策
申込を獲得したら終わりではありません。開催日までの期間に適切なナーチャリングを行うことで、参加率向上とエンゲージメント醸成が可能です。
ウェルカムメールの構成
申込直後に自動送信されるウェルカムメールには、以下を含めます。
- 申込完了の感謝
- 開催日時の再確認
- カレンダー登録リンク
- 視聴方法の説明(開催が近づいたらURLを送る旨)
- 当日得られることの再提示
- 問い合わせ先
当日までのエンゲージメント維持
開催日まで1週間以上ある場合、中間フォローメールを送ると効果的です。「ウェビナー参加準備はお済みですか?」といった件名で、関連するブログ記事やホワイトペーパーを紹介し、期待値を高めます。
関連コンテンツの提供方法
ウェビナーテーマに関連する過去記事・事例・データシートなどを事前に共有すると、参加者の理解度が上がり、ウェビナー中の質問も具体的になります。「事前に目を通しておくと、当日の理解が深まります」と添えて送付しましょう。
既存顧客リストからの集客
既存顧客は、自社を既に知っており信頼関係があるため、最も申込率・参加率が高いセグメントです。メール配信の開封率も新規リードの2~3倍高い傾向にあります。
セグメント別アプローチ
既存顧客を「利用頻度」「契約プラン」「業種」などでセグメント化し、それぞれに最適なメッセージを送ります。例えば、アップセル・クロスセルを狙う場合は「上位プランの活用事例」をテーマにしたウェビナーを案内します。
休眠顧客の掘り起こし方
過去に商談したが成約しなかった、または契約解除した顧客への再アプローチにもウェビナーは有効です。「久しぶりのご連絡で恐縮ですが、最新の○○機能についてご紹介します」のように、距離を縮めるきっかけとして活用できます。
ホワイトペーパーDL者からの転換
ホワイトペーパーをダウンロードした人は、そのテーマに強い関心があります。ダウンロード後のフォローメールで、関連ウェビナーを案内すると高い転換率が期待できます。
ステップメール設計
ホワイトペーパーDL直後に送る1通目のメールで、「資料をご覧いただいた方限定で、さらに詳しい実践方法をウェビナーで解説します」と案内します。2通目(3日後)、3通目(1週間後)と段階的にウェビナーの価値を訴求します。
コンテンツ連動の導線設計
ホワイトペーパーの内容とウェビナーテーマを連動させることが重要です。「この資料で紹介した○○の具体的な実装方法をウェビナーでデモンストレーションします」のように、次のステップとして自然に誘導します。
オーガニック検索からの流入獲得
SEO対策でオーガニック流入を増やし、ウェビナー集客につなげる中長期戦略です。
SEO対策キーワード選定
ウェビナーテーマと関連するキーワードで記事を作成し、検索流入を獲得します。例えば「MA 導入 失敗」で記事を書き、文中で「失敗しないMA導入方法を学べるウェビナー」を紹介します。
ブログ記事からの導線
記事の冒頭・中盤・最後にCTAを設置し、「この記事のテーマについてさらに詳しく学べるウェビナーを○月○日に開催します」と案内します。記事を読んで興味を持った読者を、自然にウェビナーへ誘導できます。
SaaS企業の事例(申込数○倍達成)
某MAツール提供企業では、ターゲットを「従業員数50~300名のBtoB企業マーケティング担当者」に絞り込み、テーマを「MA導入後3ヶ月でリード数を2倍にする運用テクニック」と具体化しました。LinkedIn広告とメール配信を組み合わせた結果、申込数が前回開催比で3.2倍に増加。参加者の25%が商談化につながり、ROI(投資対効果)は約15倍を達成しました。
コンサルティング会社の事例
経営コンサルティング企業A社は、「製造業向けDX推進」をテーマに、業界特化型ウェビナーを開催しました。製造業専門メディアと共催し、双方のメールリストに告知した結果、単独開催時の2倍にあたる180名の申込を獲得。参加者の業種・企業規模が明確だったため、ウェビナー後のフォローアップも効率化し、30件の商談が生まれました。
製造業の事例
産業機器メーカーB社は、対面展示会の代替としてウェビナーを開始。新製品のデモンストレーションと既存顧客の導入事例を組み合わせた内容で、既存顧客・休眠顧客・新規リードの3セグメントに異なるメッセージでメール配信しました。結果、120名が参加し、そのうち40%が既存顧客、30%が休眠顧客の再活性化、30%が新規リードという内訳となり、多様な成果を得ることができました。
追うべき重要指標
ウェビナー集客では、以下のKPIを継続的に測定することが重要です。
申込率(CVR)
LPへの訪問者数に対する申込者数の割合です。一般的に2~5%が平均ですが、10%以上を目指すことも可能です。LPの改善、フォーム最適化が直接影響します。
参加率
申込者のうち実際に参加した人の割合です。平均は40~50%ですが、リマインド施策の充実により60~70%まで向上させられます。
チャネル別獲得単価
メール・広告・SNSなど、チャネルごとの1申込あたりのコストを算出します。費用対効果の高いチャネルに予算を集中させることで、全体のROIが改善します。
その他、「申込から参加までの日数」「アンケート満足度」「商談化率」「受注率」なども追跡し、ウェビナーの事業貢献度を可視化します。
データ分析と改善サイクル
Google Analytics設定
LP訪問数・滞在時間・直帰率・申込完了数などをGoogleアナリティクスで計測します。UTMパラメータをメール・広告に付与することで、チャネル別の効果測定が可能になります。
ABテストの実施方法
LPのタイトル、CTAボタンの文言・色、フォーム項目数など、要素を1つずつ変更してABテストを実施します。統計的に有意な差が出るまでテストを続け、勝ちパターンを採用します。
次回開催への活かし方
各ウェビナー終了後、KPIレポートを作成し、「何が良かったか・何が課題か」を明確化します。例えば「LinkedIn広告からの申込単価が5,000円で最も低く、質も高かった→次回は予算を増やす」のように、データに基づいた改善を積み重ねます。
- ウェビナーの理想的な申込数・参加率は?
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ウェビナーの理想的な申込数は、目的によって異なります。リード獲得が目的なら50~200名、既存顧客向けのナーチャリングなら20~50名が一般的です。参加率(申込者のうち実際に参加する割合)の業界平均は40~50%ですが、適切なリマインド施策を実施することで60~70%まで向上させることが可能です。
重要なのは、申込数よりも「質の高いリードを何名獲得できたか」「商談化率はどれくらいか」といった、その後の成果指標です。100名申込で参加率30%、商談化率5%の場合、実質的な商談数は1.5件です。一方、50名申込で参加率60%、商談化率20%なら商談数は6件となり、後者の方が明らかに成果が高いと言えます。
まずは自社の営業リソースで対応可能な商談数から逆算し、必要な申込数・参加率を設定することをお勧めします。
- 無料と有料、どちらが集客しやすい?
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BtoBウェビナーでは、無料開催が圧倒的に集客しやすいです。LogMeIn社の調査によれば、有料ウェビナーは無料ウェビナーと比べて申込数が平均で約70%減少します。ただし、有料にすることで「本気度の高い参加者だけが集まる」「ドタキャン率が大幅に下がる」というメリットもあります。
戦略としては、以下のように使い分けるのが効果的です。
- 新規リード獲得目的:無料で開催し、間口を広げる
- 既存顧客の深堀り:有料(3,000~10,000円程度)で専門性の高い内容を提供
- 認定資格講座など:高額(数万円)で本格的な教育プログラムを提供
初めてウェビナーを開催する企業や、リード獲得を重視する場合は、まず無料で始めることをお勧めします。
- 録画配信とライブ配信、どちらが効果的?
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結論から言うと、「ライブ配信+録画配信のハイブリッド」が最も効果的です。ライブ配信にはリアルタイムでのQ&A・参加者とのインタラクション・臨場感といったメリットがあり、エンゲージメントが高まります。一方、録画配信は参加者が好きな時間に視聴でき、複数日程を用意することで申込の機会損失を減らせます。
実際の運用では、まずライブ配信を1~2回実施し、その録画を編集して「アーカイブ配信」として別日程で提供する形が増えています。これにより、ライブの価値を保ちつつ、スケジュール都合で参加できなかった層も取り込めます。
注意点として、録画配信のみの場合、参加率(視聴率)が20~30%程度まで下がる傾向があります。「いつでも見られる」と思うと後回しにされやすいため、アーカイブ配信にも視聴期限(例:公開後1週間)を設けることをお勧めします。
- 申込締切はいつに設定すべき?
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BtoBウェビナーでは、「開催直前まで申込可能」にすることをお勧めします。LogMeIn社のデータによれば、申込の17%はウェビナー当日に発生しています。「気になったらすぐ参加できる」というウェビナーの強みを活かすため、締切は設けないか、最低でも「開催1時間前まで」としましょう。
ただし、物理的な制約(例:Zoomの同時接続数上限)がある場合は、「先着○名」と明示し、定員に達したら締め切る形にします。この場合、「残席わずか」表示を更新し、緊急性を訴求することで申込を促進できます。
また、早期申込特典(例:申込から1週間以内の方には特別資料プレゼント)を設けることで、早めの申込を促しつつ、直前申込も受け付ける両立が可能です。
- 少人数でも効果的なウェビナーは可能?
-
はい、少人数(10~30名)でも十分効果的です。むしろ、少人数の方が双方向コミュニケーションが活発になり、参加者の満足度が高まることもあります。特に、既存顧客向けのナーチャリングや、高単価商材の商談化を目指す場合、少人数で濃い内容を提供する方が成果につながりやすいです。
少人数ウェビナーを成功させるコツは、①Q&Aの時間を長めに取る、②参加者の顔出しを促し対話形式にする、③事前アンケートで質問を集めておく、などです。「参加者一人ひとりの課題に寄り添う」スタンスで運営することで、大人数ウェビナーにはない価値を提供できます。
- ツール選定のポイントは?
-
ウェビナーツールを選ぶ際の主なポイントは以下の通りです。
- 同時接続数:想定参加者数の1.5倍程度の余裕を持つ
- 録画機能:後日のアーカイブ配信に必須
- Q&A・チャット機能:双方向コミュニケーションに必要
- 画面共有・資料表示:プレゼンテーション用途に必須
- アンケート機能:参加者の満足度測定・リード情報取得に有効
- 参加者データのエクスポート:MA・CRMとの連携に必要
BtoB向けの代表的なツールは、Zoom、Microsoft Teams、Webex、Google Meetなどです。100名以下の小規模ならZoomの有料プラン、数百名規模ならZoom Webinarやウェビナー専用プラットフォーム(BiziblやネクプロなItなど)を検討しましょう。
- 初めてのウェビナー開催で最低限必要な準備は?
-
初めてウェビナーを開催する場合、以下の準備が最低限必要です。
技術面
- ウェビナーツールのアカウント作成・動作確認
- 安定したインターネット環境(有線LAN推奨)
- マイク・カメラ(PCの内蔵でも可だが、外付け推奨)
- プレゼンテーション資料の作成
集客面
- ウェビナーLP(ランディングページ)の作成
- 申込フォームの設置
- メール配信リストの準備
- 告知メールの作成(開催3週間前から配信)
運営面
- タイムテーブル・台本の作成
- リハーサル(最低1回、できれば2回)
- 申込者管理表の作成
- リマインドメールの準備
初回は小規模(30~50名規模)から始め、運営フローを確立してから規模を拡大することをお勧めします。
BtoBウェビナーの集客を成功させるには、企画から開催後フォローまで、一貫した戦略が必要です。最後に、実施前のチェックリストをご紹介します。
企画段階
- [ ] ターゲットを業種・規模・職種で明確化した
- [ ] ユーザーのニーズ・課題を深堀りした
- [ ] テーマを「誰に・何を・どう解決するか」1文で説明できる
- [ ] 参加メリットが明確になっている
- [ ] 開催日時を参加しやすい曜日・時間に設定した
LP・フォーム
- [ ] ファーストビューにタイトル・日時・CTAがある
- [ ] ベネフィットを3~5個具体的に提示した
- [ ] 登壇者の権威性を示した
- [ ] 入力項目を最小限に絞った
- [ ] スマホでも見やすく操作しやすい
集客施策
- [ ] メール配信スケジュールを組んだ(3週間前~当日)
- [ ] セグメント別にメッセージをカスタマイズした
- [ ] 自社サイトにバナー・CTAを設置した
- [ ] SNSで告知した
- [ ] 必要に応じて広告を出稿した
リマインド・フォロー
- [ ] 申込完了メールにカレンダー登録リンクを含めた
- [ ] 前日・当日のリマインドメールを準備した
- [ ] 申込後~開催日まで関連コンテンツを配信した
開催後
- [ ] 参加者にお礼メールとアンケートを送った
- [ ] 不参加者にアーカイブ動画を案内した
- [ ] KPIレポートを作成し、改善点を洗い出した
- [ ] 次回開催の企画に反映した
次のアクションステップ
- 自社の現状を上記チェックリストで確認する
- 不足している項目を洗い出す
- 優先順位をつけて改善施策を実行する
- PDCAサイクルを回し、継続的に改善する
BtoBウェビナーは、適切な戦略と実行により、費用対効果の高いリード獲得・ナーチャリング手段となります。本記事で紹介した10の手法を実践し、申込率・参加率を最大化してください。
